メンタルに関わるお薬と〝賢く付き合う〟ためのコラム

             ★季節の変わり目や台風で体調を崩さないために (H28.9.7更新

       ★心が風邪をひいたときには

             ★「心の健康を保ち増進するために大切な「予防」のお話」

「季節の変わり目や台風で体調を崩さないために」    執筆者 吉田聡(薬剤師)

今年は台風の上陸が目立っていますね。

ブーメラン台風のように戻ってきたり、台風も日本近海で発生したり。

 

今までと違った傾向が今年は見られています。

 

そんな台風が来たとき。

体調不良に悩まされていませんか?

 

 

頭痛や古傷の痛み、だるさや眠気、喘息が悪化する方もいます。

また、台風だけではなく、季節の変わり目。

 

 

ここでも良く体調を崩される方がいらっしゃると思います。

私の薬局にも、この時期はよくそのような相談を受けます。

 

では、なぜそのような体調変化が起きるのでしょう。

 

大きく分けると2つの要因があります。

 

 

1つは、環境変化です。

台風が接近や季節の変わり目には気圧・気温・湿度などが変わります。

 

この変化に身体がついていけないのです。

 

具体的には、自律神経と言う物の調子が悪くなります。

その為、様々な症状を引き起こします。

 

 

もう1つの要因は、心理的な要因です。

 

例えば、過去に台風の時頭痛が起きた方の場合。

台風が近づいてきているという天気予報を見たときから頭が重く感じてしまう。

 

まだ、台風が来ていないのに、情報を得たときから体調を崩してしまいます。

(花粉症の方にも同じように、TVの花粉情報を見たときから症状を訴える方もいます。)

 

 

では、体調を崩さないためにどうすれば良いでしょうか?

 

1つは、環境変化に負けない身体を作ることです。

どうすれば良いかというと、生活のリズムを変えないことです。

 

これは、「理想的な生活のリズム」にする事ではありません。

 

確かに、早寝早起き、3食食べるなどが良いことは皆さんご存じの通り。

抱けど出来ないことをしても仕方ありません。

 

ですから、生活のリズムを整える。

 

起きる時間、食事の時間、食事の回数、寝る時間などをなるべく変えない。

なるべく一定のリズムで生活すると言うことです。

 

そうすることで、自律神経が上手に働くことが出来ます。

そうすると、環境変化に負けない身体を作れるのです。

 

 

もう1つは、情報を入れないこと。

なるべく天気予報などの情報を仕入れないことです。

 

患者さんで、

花粉症の時期極力情報を入れないことで、ほとんど症状がでずに乗り切った方が居ます。

 

TVが花粉情報になりそうな時はチャンネルを変えて対応していたそうです。

 

そのように、悪い情報を極力入れないことで、心理的な要因を防ぐ方法も効果があります。

是非参考にしてみて下さいね。

 

吉田は10月10日開催「医療と癒し~冬の心と身体に優しいシンポジウム~」にて

パネリストとして登壇します

「心が”風邪”をひいた時には…」  執筆者 吉田聡(薬剤師)

初めまして!

日本セラピーブリッジ副理事長を務めております、薬剤師の吉田聡です。

よろしくお願い致します。

 

今日は、「心がちょっと風邪をひいてしまった。」

そんな時、お役に立つことをご紹介したいと思います。

 

 

まず、心が風邪をひくってどういうことでしょう?

 

 

最近、

‘うつ’のことを「心の風邪」と表現される事があります。

 

これには、色んな意味があります。

 

 

「誰でもかかることがある病気だよ」とか。

「甘く見てこじらせたら大変だよ」とか。

「早めの対処が大事だから気軽に治療しましょう」とか。

 

 

沢山の意味が込められています。

 

 

では、「心が風邪」をひいてしまったとき、

あなたはどうしますか?

 

 

ちょっと気晴らしに外へ出掛けてみたり、

友達に相談するのも良いですね。

 

病院に行こうかな、って思う方もいるでしょう。

でも、少し抵抗を感じる方も多いのではないでしょうか?

 

 

ただ、何もしないとこじらせてしまうかもしれません。

 

 

そんな時は、薬局で薬剤師に相談してみて下さい。

 

 

実は、

薬局の役割は薬をお出しすることだけではありません。

 

ゲートキーパー(命の門番)としての役割も持っているのです。

 

そして、薬剤師は医療従事者として相談に乗ってくれます。

あなたの症状を聞いて、どうしたらよいかを教えてくれます。

 

 

病院に行った方が良いのか?

行くとしたら何処の病院か?

病院に行かなくても大丈夫なのか?

 

 

こんな風に、

どのようにすれば良いかを一緒に考えてくれます。

 

 

また、その時の相談料は必要ありません。

 

 

ゲートキーパーの役割も果たす薬局。

 

あなたの心が“風邪ひいたかな?”と思ったときに

 

相談して見てくださいね。

【プロフィール】吉田 聡(よしだ さとし)

 

NPO法人日本セラピーブリッジ副理事長

薬局・なくすりーなの管理薬剤師

 

1977年大阪生まれ東京経由岡山育ち。

延べ30万人の服薬指導に当たるも、その薬が本当に必要なのか疑問を持ち、模索しながら自己研鑽を積んだ結果『薬剤師の本質は薬の引き算をすること』という考えにたどり着く。

とことん患者さんに寄り添って、薬をへらす服薬指導は信頼を得ている。

「薬の引き算をする薬剤師」としての講演も好評。

 

そのほか、株式会社LLE代表取締役、株式会社ザイシCEO、古河薬剤師会副会長なども歴任している新進気鋭の薬剤師。

「心の健康を保ち増進するために大切な「予防」のお話」    執筆者 小石亜希子(臨床心理士)

こんにちは。

「リーダーのみなさんの、心のひっかかりをすっきりさせる、きっちり歌う臨床心理士」の

小石亜希子です。

 

 今回は、心の健康を保ち増進するために大切な「予防」のお話をしたいと思います。

 

お薬との直接の関係はないですが、「薬とメンタル」のページにお越し頂いた方にも

お役に立てる内容 かと思い掲載いたします(理事長談)

 

 

「予防」というと、「予め防ぐ」という意味ですが、何を予め防ぐのかによって、3段階に分けられますよ、と、そんなお話です。

 

まず、第一段階は一次予防です。

これは、一般的に想像される予防に近いかもしれません。

 

病気にならないように、気をつけましょうねということです。

 

一次予防には「自分の心身の健康管理は最低限自分でする」というセルフケア、会社内、家庭内、

学校内など、それぞれの方の生活の場でお互いが気遣い合い、必要に応じて環境等を調整するというものなどがあります。

 

一次予防は専門家によって行われるものではなく、「生活の場」で行われるものですので、その主な担い手は、本人や周りの方々、つまり個を中心に取り巻く全ての方々ということになります。

 

そして第二段階は、二次予防です。

どれだけ注意を払っていたとしても心の病気になってしまうことはありえます。

そんな時にでもなんとか冷静に…。

 

早期発見早期治療をすれば、大事に至らずに済ませることが出来たり、病気の進行を遅らせることが出来たり、最小限のお薬で済ませることが出来たりします。

 

 

このような対応のことを、予め悪化を防ぐという意味で、二次予防と言います。

 

 

この段階の見極めはなかなか難しいものでもありますので、素人判断はせず、出来るだけ早く医療機関につないでいただくということがポイントになります。

 

特に、精神疾患の場合、その病気が重症になればなるほど、ご本人の病識(『自分、なんか変だぞ…』という違和感)が乏しくなることが知られており、ご自分で医療機関にかかることを希望されない場合も多くあります。

 

そんな場合でも、『なんか変だぞ…』と気づいた周りの方が、民間の医療機関や、精神保健福祉センターや保健所などの公的機関にて、個別に対応策を聞いていただくということが大変有効です(本人を無理やり連れて行く前に作戦会議をした方がうまくいきます)。とにかく医療へつなぎ、早期発見早期治療につなげていくことが二次予防です。

 

二次予防の段階で、治療を継続しつつ会社や学校に行ける状態を保てるのが理想ではありますが、中には、治療に専念するために一度社会から距離を置く、つまり休養が必要となる場合があります。そんな時は、とにかくしっかりと治療をしてください。(「しっかりと治療」の具体的なことについては、また別途お話させていただきます)。

 

 

しっかりと治療を継続し、症状も随分安定した段階で、予め再発を防ぐために行われるのが「三次予防」です。

 

 

ここで注意をしなければならないのが、

「日常生活がなんとか送れるようになる」≠「完全なる社会復帰が出来る水準まで改善した」ということです。

 

医療機関では、生活のリズムが戻り、日中も軽い活動ならば出来るようになった段階で「少しずつ復帰も考えてみよう」と言われることが多いようです。

しかし、多くの場合、軽い活動はできても、職場でこれまでと同じようにバリバリと仕事をする、

就職する、せわしない学校生活に戻る、というところまではもうひと山あったりします。

 

このひと山を丁寧に越えていくことが出来れば、再発・再悪化予防に繋がりますので、同じく大切な予防です。

 

最近では、三次予防の補助として、社会人であれば、リーワークプログラム(戻る職場がある方向け)が提供されている医療機関も少数ではありますがありますし、障害者手帳を取得された場合には、障害者職業センターやハローワークの障害者窓口のような病気に特化した就労支援窓口もあります(相談そのものは手帳がなくても大丈夫です)し、長期無業状態になってしまった場合にでも、それぞれの年齢や状態に応じてサポートする公的な支援機関も充実しつつあります。

 

また民間の就労移行支援事業等の支援機関を利用される方もいらっしゃいます。

 

いずれの場合も、

「再発を防ぎながら、上手に社会復帰していく」ということに重きを置いているのが共通点です。

 

なお、この三次予防の担い手は、ご本人、お家や会社や学校など復帰先の方々、医療機関や支援機関と、総動員です。

 

 

いかがでしたか?以上が、「予防」についての大まかなお話でした。

 

 

それぞれの具体的なことについては、また改めてご紹介していきたいと思いますが、まずは、段階に応じて、状況に応じて、『防ぐこと』が異なってくるということが、少しでもご理解いただければ嬉しいです。

 

 

それでは、また。

【プロフィール】小石 亜希子(こいし あきこ)

リーダーのみなさんの心のひっかかりをすっきりさせるきっちり歌う臨床心理士

NPO法人日本セラピーブリッジ理事

20年以上にわたり、児童相談所、保健所、小中学校及び高等学校、若年者就労自立支援機関、生活困窮者自立支援機関等で心理臨床業務に携わる一方、大学や専門学校、民間企業などで、講義や研修講師、コーディネーターとして活動。クライエントは、比較的健康な方から医療機関にて治療を受けつつ、あるいは障害受容をしつつ生活や職場で充実した日々を送ろうと研鑽される方まで、そして年齢層も子どもから高齢者までさまざま。

当事者の方々のサポートに加え、当事者の方々を支える保護者、支援者、事業主やリーダーの支援も積極的に行っており、それぞれの立場に応じた具体的な支援策の提供には定評がある。

心理臨床活動の一貫として声楽家である側面も活かし、各種イベント等積極的に企画運営参加もしている。臨床心理士、産業心理臨床家、声楽家。